ふわふわのはっぴー
ふわふわなミニチュアシュナウザーのはっぴーは、わたしが中学1年生のときにうちに来た。
小学校6年生のときに前に飼っていた犬が亡くなった。その犬の名前もはっぴーだった。
その子を見送って、中学受験が終わって落ち着いてからブリーダーさんに電話をかけたらちょうど2匹の子犬が生まれたところではっぴーを引き取った。
なんで同じ名前にしたのか当時の自分の考えをよく覚えていない。前の犬を忘れたくなかったのか、同じ犬種の犬を連続で飼って、うちにくるミニチュアシュナウザーははっぴーって心の中で決めていたのか。
同時に男の子と女の子1匹ずつ合計で2匹生まれていたらしく、よちよち歩きのころにブリーダーさんのところに見に行って、ちょっといじめられて弱そうな女の子のほうを引き取った。
はっぴーは普段とてもおとなしい子だった。でも、インターホンが鳴ると、荒れ狂う番犬になる。
大学生時代、下宿先から帰ってくると、時間をあけて帰ってきたのがすごくうれしいのかものすごい喜びようだった。ぴょんぴょん飛び跳ねてリビングの扉まで迎えにきてくれた。ものすごく病んでいた大学時代、自分の帰りを思いっきり喜んでくれる存在にとても救われた。
はっぴーの喜びように、マイペースさに、いっしょに寝てくれる優しさに何度も何度も救われた。
お尻のあたりを撫でられるのが好きだった。 (今は触るとちょっと怒る)
頭を撫でられるのも大好きだった。(これはいまも好きみたい)
丸まって寝てると、首のところが二重あごみたいになるのがかわいい。
はっぴーはすごくいい毛並みの子だ。ビロードのような毛並み。さらさらでつやつや。ソルトアンドペッパーらしい格好いいシルバーの毛並み。
チャンピョン犬の血筋らしく、走るときはとてもフォームがきれいだった。今はもう走れない。
中高生の時の自分よりすっとずっと走るのが速かったはっぴーはもう走れない。
でも、いまゆっくり帰りを見守ってくれるのも愛おしい。
よたよた歩くしうんちももらすしおしっこももらす。
もうおばあちゃんだけど、ずーっとごはんだいすきで食欲旺盛なのがありがたいしかわいい。
これまではっぴーがくれたあたたかさ、愛情の分だけ、愛情の分以上に恩返しをしたい。
自分の生涯をかけて、相手の生涯を愛することはとても難しい。犬に限らず人間でも自分以外の存在に対して。
生活をやっているとあっという間に時間は過ぎ、「他者に愛情をかける」時間は残らなくなる。
でも、そんなことおかまいなしに容赦無く相手の生涯の残り時間は減っていく。
でも、終わるまではいっしょにいようね。出来るかぎりのことはさせてね。
出来る限りのことしか出来ないわたしをどうか許してね。